プロ野球ベストナイン2023決定!阪神・オリ勢の躍進と満票の真相
2023年のプロ野球界を総括する年間表彰式「NPB AWARDS 2023 supported by リポビタンD」において、同年のベストナイン各賞が公式発表された。セ・パ両リーグの頂点に君臨した阪神タイガースとオリックス・バファローズによる「関西ダービー」の熱狂がそのまま反映された顔ぶれとなり、長年プロ野球を取材してきた記者陣の間でも大きな話題を呼んだ。
とりわけ注目を集めたのは、パ・リーグで唯一の満票選出を果たした近藤健介の圧倒的打棒や、日本一軍団の主力として初受賞を果たした選手たちの決定打だ。一方で、打撃成績と守備貢献のどちらを重視すべきかを巡り、一部のポジションでは記者投票の結果に対してSNSや野球ファンの間で激しい議論が巻き起こった。本稿では、当時の投票データやセイバーメトリクス指標、現場取材の証言を交えながら、2023年ベストナインの選考理由と深層を多角的に解き明かす。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:オリックスから球団最多タイの5名、阪神から3名が選出され、両リーグの優勝チームが圧倒的存在感を発揮した。
- 要点2:ソフトバンクの近藤健介が全267票を獲得する唯一の満票受賞を達成し、初選出組も両リーグで計8名と世代交代が進んだ。
- 要点3:セ・リーグ捕手部門の大城卓三(巨人)と坂本誠志郎(阪神)の10票差決着など、打撃重視と勝利貢献の評価軸を巡る議論が浮き彫りになった。
【公式発表】プロ野球ベストナイン2023受賞者一覧とセ・パ両リーグの結果
日本野球機構(NPB)から発表された2023年度のベストナインは、両リーグで覇権を握ったチームの充実ぶりを如実に物語る結果となった。まずは、セントラル・リーグおよびパシフィック・リーグの受賞者一覧を整理する。
セ・リーグ受賞選手一覧
- 投手:東克樹(横浜DeNAベイスターズ)※初受賞
- 捕手:大城卓三(読売ジャイアンツ)※3年ぶり2度目
- 一塁手:大山悠輔(阪神タイガース)※初受賞
- 二塁手:牧秀悟(横浜DeNAベイスターズ)※2年連続2度目
- 三塁手:宮﨑敏郎(横浜DeNAベイスターズ)※5年ぶり3度目
- 遊撃手:木浪聖也(阪神タイガース)※初受賞
- 外野手:近本光司(阪神タイガース)※3年連続3度目
- 外野手:西川龍馬(広島東洋カープ)※初受賞
- 外野手:岡林勇希(中日ドラゴンズ)※2年連続2度目
パ・リーグ受賞選手一覧
- 投手:山本由伸(オリックス・バファローズ)※3年連続3度目
- 捕手:若月健矢(オリックス・バファローズ)※初受賞
- 一塁手:頓宮裕真(オリックス・バファローズ)※初受賞
- 二塁手:浅村栄斗(東北楽天ゴールデンイーグルス)※2年連続8度目(二塁手としては3度目)
- 三塁手:宗佑磨(オリックス・バファローズ)※3年連続3度目
- 遊撃手:紅林弘太郎(オリックス・バファローズ)※初受賞
- 外野手:近藤健介(福岡ソフトバンクホークス)※3年ぶり4度目(外野手としては2度目)
- 外野手:万波中正(北海道日本ハムファイターズ)※初受賞
- 外野手:松本剛(北海道日本ハムファイターズ)※2年連続2度目
- 指名打者(DH):グレゴリー・ポランコ(千葉ロッテマリーンズ)※初受賞
セ・リーグでは18年ぶりのリーグ制覇と38年ぶりの日本一を成し遂げた阪神タイガースから、不動の4番を務めた大山悠輔、恐怖の8番打者として下位打線を牽引した木浪聖也、攻守の要である近本光司の3名が選出された。横浜DeNAベイスターズも最多勝の東克樹、打点王の牧秀悟、首位打者の宮﨑敏郎と個人タイトルホルダーが並び立ち、阪神と並ぶ3枠を確保した。
パ・リーグでは、リーグ3連覇を飾ったオリックス・バファローズが猛威を振るった。エース山本由伸をはじめ、正捕手争いを勝ち抜いた若月健矢、首位打者に輝いた頓宮裕真、堅守巧打の宗佑磨、攻守で急成長を遂げた紅林弘太郎の計5名が選ばれた。同一チームから5名が選出されたのは、パ・リーグでは2002年の西武ライオンズ以来、21年ぶりの快挙となった。

初選出の決定打と満票獲得の経緯|明暗を分けたスタッツの全貌
2023年の選考で最大の見どころとなったのが、パ・リーグ外野手部門における近藤健介の満票獲得と、両リーグで計8名を数えた初受賞選手たちの決定打だ。
日本ハムからソフトバンクへFA移籍した近藤健介は、移籍初年度から出塁率.431、26本塁打、87打点をマークし、本塁打王と打点王の打撃二冠を獲得した。パ・リーグの有効投票総数267票すべてで名前を書かれるという完全無欠の選出劇であり、移籍に伴う重圧を跳ね除けた圧倒的な成績が記者陣全員の一致した支持を集めた。3年連続で投手4冠と沢村賞を獲得した山本由伸ですら満票に8票届かない259票だった事実を鑑みても、近藤の残したインパクトの大きさが際立つ。
一方、初選出組の台頭も著しかった。特に阪神の大山悠輔は、打率こそ.288にとどまったものの、リーグトップの四球数99と最高出塁率(.403)を記録し、全試合で4番に座り続けた責任感が極めて高く評価された。同じく阪神の木浪聖也は、春季キャンプの熾烈な定位置争いを制して正遊撃手に定着すると、満塁時打率.4割超えという驚異的な勝負強さを発揮し、満票に近い支持を集めた。
オリックスの頓宮裕真も、プロ5年目で打率.307を記録し、球団の生え抜き右打者としては1952年のバルボン以来となる首位打者を獲得。これが文句なしの決定打となった。また、日本ハムの万波中正は25本塁打を放ち、守備でも驚異的な強肩でリーグを沸かせるなど、投打の要所で次代を担う若手が明確な結果を残して表彰の舞台へと駆け上がった。
【徹底比較】2023年ベストナイン主要スタッツと得票データ検証
記者投票の判断基準を可視化するため、激戦となった注目ポジションの主要スタッツと獲得票数を比較表にまとめた。
| ポジション・選手名 | 詳細・数値データ(2023年成績) | 一般的な基準・相場 | 編集部の見解・評価 |
|---|---|---|---|
| パ・外野手:近藤健介 (ソフトバンク) | 267票(満票獲得) 打率.303 / 26本 / 87打点 / 出塁率.431 | 得票率80%以上で当確、満票は数年に1度の極めて稀な水準 | 打撃2冠に加え最高出塁率を獲得。セイバーメトリクス指標(WAR)でもリーグ首位であり、異論の余地がない選考。 |
| セ・捕手:大城卓三 (巨人) | 112票(得票率37.5%) 打率.280 / 16本 / 55打点 / OPS .764 | 捕手でOPS .750超え、2桁本塁打は球界トップクラス | チームは4位低迷も打撃スタッツで圧倒。打撃力重視のベストナインの性質が色濃く反映された。 |
| セ・捕手:坂本誠志郎 (阪神) | 102票(得票率34.1%) 打率.226 / 0本 / 21打点 / 盗塁阻止率.338 | 優勝捕手のプレミアム、リーグ最少失点(チーム防御率2.66) | ゴールデングラブ賞は獲得したが、ベストナインでは打力不足が響き、わずか10票差で及ばず。 |
| セ・投手:東克樹 (DeNA) | 282票(得票率94.3%) 16勝3敗 / 防御率1.98 / 勝率.842 | 最多勝・最高勝率の投手2冠、防御率1点台 | MVPを獲得した村上頌樹(阪神・10勝)を退け、先発完投能力と圧倒的な白星数で記者票を掌握。 |
データが示す通り、満票を獲得した近藤健介のような絶対的な存在がいる一方で、セ・リーグの捕手部門のようにわずか10票の差で結果が分かれたポジションも存在した。これがシーズン終了後のメディア論調を大きく二分させる要因となった。
【選考の真相】記者投票のメカニズムと物議を醸したポジション別の攻防
ベストナインの選定プロセスにおいて、ファンの間で最も物議を醸したのがセ・リーグ捕手部門の選考理由だ。ネット上では「日本一に輝いた阪神の正捕手である坂本誠志郎が選ばれないのはおかしい」「打率2割2分で本塁打ゼロの捕手がベストナインに相応しいのか」という賛否両論の意見が飛び交った。
阪神の坂本誠志郎は、シーズン途中から先発マスクを奪い、驚異的なブロッキング技術と緻密なリードで球団史上屈指の投手陣を統率した。チームをリーグ優勝および日本一へ導いた功績から、守備の最高栄誉であるゴールデングラブ賞は坂本が199票を集めて圧勝している。しかし、ベストナイン投票では巨人の大城卓三が112票、坂本が102票と僅差で逆転する事態が発生した。
担当記者たちの投票心理を分析すると、ベストナインは歴史的に「攻撃力と打撃スタッツ」を重く見る傾向がある。大城は捕手登録でありながら打率.280、16本塁打、OPS .764という現代プロ野球の捕手としては傑出した数値を叩き出していた。チーム順位こそ巨人は4位に甘んじたものの、「個人の総合打撃力」を純粋に評価した記者票が大城へ集まった形だ。
さらに、セ・リーグの最優秀選手(MVP)に輝いた村上頌樹(阪神)が、ベストナイン投手部門では東克樹に大差をつけられた点も投票システムの妙と言える。村上は最優秀防御率(1.75)と新人王、MVPの三冠を手にしたが、東は16勝3敗という圧倒的な勝ち星を挙げ、クオリティ・スタート(QS)率でも際立っていた。記者陣の間で「年間を通じた先発投手の勝利貢献度」として東の16勝が強く意識された証左であり、個々の投票基準の差異が如実に現れた結果となった。
一般に知られていない盲点とネットの誤解|ベストナインとゴールデングラブ賞の違い
プロ野球の表彰シーズンになると、毎年SNSや掲示板で「なぜゴールデングラブ賞を取った選手がベストナインから漏れるのか」という疑問が噴出する。この混同には、両賞の設立趣旨と記者の投票基準に関する構造的な違いが存在する。
最大の違いは、評価の主軸が「守備専任」か「打撃を含めた総合力」かという点にある。ゴールデングラブ賞(旧ダイヤモンドグラブ賞)は守備力のみを評価対象とする表彰であり、極端に言えば打率が1割台であっても守備指標や守備範囲が傑出していれば選出される。一方のベストナインは、そのシーズンにおいて各ポジションで「最もチームの勝利に貢献した卓越した選手」を選ぶ総合表彰であり、実質的には打撃成績が選考の大きなウエイトを占める。
また、投票権を持つ記者側の属性にも盲点がある。投票資格は「新聞社、通信社、テレビ局等で取材活動を通算5年以上担当した記者」に限定されている。現場で長年取材を続けているベテラン記者は、打率・本塁打・打点といった伝統的なクラシックスタッツを重視する傾向が根強い。近年普及が進むセイバーメトリクス(WARやwRC+など)を評価軸に据える記者との間で投票内容が分散し、時にファンの体感評価と乖離した投票結果が生まれる背景となっている。
【プロの結論】表彰制度の評価バイアスから見出すべき分析視点
プロ野球の記者投票には、組織心理学における「ハロー効果(目立つ特徴に引きずられて全体の評価が歪む現象)」が働きやすい側面がある。優勝チームの所属選手という肩書きが個人の実力以上に加点されるケースもあれば、打撃スタッツの派手さが守備や走塁のマイナスを覆い隠してしまうケースも存在する。
表彰結果を冷静に読み解くためには、単一の受賞歴だけで選手を格付けする短絡的な視点を排除しなければならない。「守備の貢献度はゴールデングラブ賞」「総合的な攻撃力はベストナイン」「通年の勝利寄与度はセイバーメトリクスのWAR」というように、評価軸を分解して選手を立体的に捉える姿勢が不可欠となる。数字の背後にある文脈を読み解く力こそが、プロ野球という奥深いエンターテインメントを真に愉しむための基準となる。

【プロ野球 ベストナイン 2023】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2023年のプロ野球ベストナインで満票選出された選手は誰ですか?
A1:福岡ソフトバンクホークスの近藤健介選手です。パ・リーグ外野手部門において、有効投票数267票のすべてを獲得する満票で選出されました。本塁打王と打点王の二冠に加え、出塁率.431を記録した圧倒的な打撃成績が全記者から支持されました。
Q2:阪神タイガースとオリックス・バファローズからは何名が選出されましたか?
A2:日本一の阪神タイガースからは大山悠輔(一塁手)、木浪聖也(遊撃手)、近本光司(外野手)の3名が選出されました。パ・リーグ3連覇のオリックス・バファローズからは山本由伸(投手)、若月健矢(捕手)、頓宮裕真(一塁手)、宗佑磨(三塁手)、紅林弘太郎(遊撃手)の計5名が選ばれ、球団最多タイの快挙となりました。
Q3:セ・リーグMVPの村上頌樹投手(阪神)がベストナインに選ばれなかった理由は?
A3:横浜DeNAベイスターズの東克樹投手が16勝3敗、防御率1.98という圧巻の成績で最多勝と最高勝率の二冠を獲得したためです。東投手が282票を獲得し、最優秀防御率と新人王を獲得した村上投手を白星数やQS率などの先発登板実績で上回ったと判断されました。
Q4:ベストナインとゴールデングラブ賞は同じ選手が選ばれることが多いのですか?
A4:必ずしも一致しません。ゴールデングラブ賞が「守備力」のみを評価するのに対し、ベストナインは「打撃を含めた総合的なシーズン貢献度」を評価します。2023年のセ・リーグ捕手部門のように、守備重視のゴールデングラブ賞は坂本誠志郎選手(阪神)、打撃重視のベストナインは大城卓三選手(巨人)と受賞者が分かれる事例は頻繁に見られます。
まとめ:激動の2023年シーズンが示した球界の地殻変動
2023年のプロ野球ベストナインは、阪神タイガースの18年ぶり優勝とオリックス・バファローズのリーグ3連覇という「関西勢の躍進」を象徴する歴史的な選考結果となった。同一球団からの多数選出はチームの黄金期を雄弁に物語る一方、若きタイトルホルダーたちの初受賞は球界の確実な世代交代を示している。
満票を獲得した近藤健介の圧倒的な打撃力、僅差で決着した大城卓三と坂本誠志郎の捕手論争、そしてタイトルホルダー同士が激突した投手部門の選考劇。それぞれのポジションに刻まれたドラマとスタッツの背景を検証することは、現代プロ野球が目指す戦術トレンドや選手評価の未来を見通す上でも、極めて価値ある視座を提供している。 (出典: プロ野球 ベストナイン 2023(Yahoo!ニュース))